栗原 莞爾
私たちはインターネットを介した社会形態と現実の場を同時に持つ「多重生活者」として暮らしている。また、現実で見る風景や人物や色彩とバーチャルのものとの差異が、ほとんど違和感なく浸透している環境にある。自分の制作は、この現実とデジタルが深く混在する現代の状態を再認識できるかどうか、それを絵画表現するための試みです。そして、現代の都市は歴史・文化・テクノロジーなどを有しており、「見える空間」と「見えざる空間」で構築されている。現実(real)と仮想(virtual)という二つの空間が、これまでに無い程に密接な空間を作り出す様を、独自の手法(熱転写シートを絵の具がわりに表現する手法)を用いて可視化していることが自身の作品の特徴です。